SteamセールでOuter Wildsを購入した。
ずっと遊びたかった星系探索ADVだけど、非常に酔いやすいという話をよく見かけたので敬遠していた。
自分は基本的に3D酔いしないんだけど、たまに極端に酔っちゃう3Dゲーがあるのだ。BIOSHOCK、Gearsの各シリーズがそうである。もしOuter Wildsがそうだったら怖いなと思っての敬遠だった。
で、実際に遊んでみると全然大丈夫だった。重力制御装置のようなギミックで壁だったところが地面になったり、天井が地面になったり、という場面だけちょっと気をつけたほうが良いな という感じだ。酔いやすい人にはちょっと厳しいかな~ぐらいの酔いレベル。
割りと一気にクリアまで遊んだ。1日でというわけじゃないけど、数日間はOuter Wildsばっかり遊んでクリアという感じ。それぐらい熱を込めて遊ぼうと思える出来だった。
未知の惑星を探索するワクワク感、ぶっ飛んだ自然現象に対するワクワク感、量子力学特有のなんか良く分かんないけどワクワクする感じ、ということでとにかくワクワクなんですよこのゲームは。
科学的・物理的・量子力学的にどれだけ整合性があるのかは全く分からないんだけど、インターステラーを見ている時と似た感覚のSF度で遊べるゲームである。
宣伝文句にもなってる部分をネタバレすると、ゲーム開始してから22分間で超新星爆発が起こるため必ずプレイヤーは死ぬ。が、なぜだか記憶を保持したままゲーム開始の状態に戻る という設計になっている。その謎を解くための冒険である。
リプレイを重ねて、あらゆる惑星や衛星を旅して情報を集めて謎の全貌が徐々に明らかになっていく というゲームだ。
すごいと思ったのは、このゲームは探索の自由度が高くて情報取得の順番がプレイヤーごとにバラバラになるにも関わらず、おそらくどう遊んでもちょうど良い按配で謎が解けていく感覚が味わえることだ。導線の誘導の仕方が絶妙である。やり過ぎると自力で謎を見つけて解決していく感覚が薄れて萎えるし、やらなさ過ぎてもプレイヤーが放棄してしまうからね。
他に良いと思った点として、このゲームは変な動作が少ないように感じる。要は物理エンジンが悪さしてオブジェクトがガタガタ震え始めたり、プレイヤーが猛スピードで明後日の方向にぶっ飛んだり というような事態に遭遇することが少ないのだ。無いわけではない。
Outer WildsはしっかりSFしてると思うので、動作の不具合が多いとけっこう強めなノイズになっちゃうと思うんだよね。え、今の現象は不具合?ちゃんと設定にのっとった物理現象?みたいな。
重力や自然現象など、影響する要素が多いと思うんだけどよく違和感ないレベルまで作ったなと感心した。
難点といえば、わからん殺し的な要素でリプレイを強いられることがちょいちょいあることかな。
あとプレイヤー次第ではあると思うけど、「これ攻略見なきゃ無理じゃね?」と思える箇所も結構ある。なのでプレイの途中からネタバレを回避した攻略をちょくちょく見て進めることにした。
大体ヒントは用意されてるけど、探索できる場所が多い上にヒントが別の惑星にあったりするので、自力だとプレイ時間が今の3倍はかかるだろうなと思った。そしてその3倍の時間は脱出ゲームで総当りクリックをするようなもので基本的に楽しくなく、うんざりしながら探す時間になりそうである。
もちろん全部自力で遊べば打開策が見つかった時の喜びは3倍になるだろうけど、自分は早く謎の全貌が知りたくて攻略見て遊んじゃいました。詰まった時だけね!
以下ネタバレあり感想
初見の惑星探索が最高に良かった。「こんなのアリかよ」っていうようなスケールの大きい現象を目の当たりにするのが楽しくてしょうがなかったね。巨人の大海の竜巻とか、ほぼ水で構成された地表とか最高じゃない?
アンコウは怖いけどちょっと非現実的過ぎるかな~と思う。イバラの謎空間はともかく、アンコウはゲームっぽすぎてちょっと違和感があった。
何よりも宇宙に対して感じる恐怖とワクワクをゲームを通して体感できるのがすごい。色んな人の初見のリアクション見たさにYoutubeの実況動画を探したくなるね。
自分が思う全体の流れは
まず宇宙の眼があり、眼には宇宙空間を生み出す機能がある。
が、今の宇宙が寿命なので再起動(ビッグバン)する必要があった。そのため宇宙が寿命に近づいた時に眼がある程度知能を持った生命体がキャッチできる信号を発信した。再起動には眼の観測者が必要で、偶然主人公がその席に収まることになった。
なぜ観測者がある程度知能を持った生命体なのかというと、観測には量子の知識が必要だからである。
もしかしたら先代の観測者がなんらかの理由で観測をやめたから宇宙が崩壊し始めたのかもしれない。このゲームは全体を通して「量子的ふるまい」が重要な要素になっているので、宇宙もまた「観測することで存在できるもの」としているのかも。主人公の星系が周りの目視できる天体よりも比較的遅く超新星爆発するのは、知的生命体であるHearthianがいるからかもしれない。眼の観測者ほど強い観測は出来ないので結局爆発はするけど。
宇宙の再起動の間際、主人公とその仲間たちが焚き火を囲んで演奏することでビッグバン因子みたいなものを発生させたけど、あれは主人公やその仲間たちが超常的な能力を持ってるわけでも、特別な選ばれた存在なわけでもなく、観測者になると眼の現象に自分の記憶が反映されるだけなんだと思う。
最後の挿絵、おそらく次の宇宙で発生・発展した知的生命体が焚き火を囲んで踊っている様子だけど、描かれている惑星が幽霊物質をまとっているように見えるので、次の世代の知的生命体は幽霊物質を克服したのかもしれない。Nomaiを一瞬にして絶滅させる力がある物質を利用できるようになったら、技術レベルもまた次世代に進むことになるだろう。だいぶカマキリっぽいので怪しいけど。だとしたら宇宙の眼の存在理由は生物の進化なのか?いやーでも違うか。NomaiとHearthianだとNomaiのほうが優れてるように感じるしな。ん、でもまだHearthianが魚か蛙か、というレベルの生命体の時、侵入者の爆発をHearthianは一応耐えてるんだよな。幽霊物質が濃いところはキツいけど、星系全体に拡散した時のやつはちょっと薄くて大丈夫だった とするなら一応Nomai→Hearthianも進化したと言えるか。単に水中だから幽霊物質が及びづらかった可能性もあるけど、それならNomaiも場所によっては水で遮断されて難を逃れる個体が居ても良かったよね。特に水が豊富な木の炉辺や巨人の大海に居住してた場合。至るところにあるNomaiの骸骨の様子だと、普通に生活している最中に同時に一気に絶滅した印象がある。侵入者のコアが爆発した後の記録はおそらく無かったと思うしね。なので自分はHearthianはちょっとだけ幽霊物質に耐性があるように進化した生物、として見ている。
まあそもそも幽霊物質をまとってる状態は次世代の宇宙が瀕死であることを示していて、また宇宙の再起動をしている最中の描写かもしれないけどね。
あと宇宙の眼は宇宙よりも前に存在する ということだけど、これは宇宙の再構築をしているから結果的に宇宙よりも前に存在していることになってるんだろうと思った。であれば宇宙はビッグクランチとビッグバンを何度も繰り返す構造になっている。
宇宙の眼は1回目の宇宙で、とんでもなく知能が発達した生命体が作った人工物かもしれない、とも思う。宇宙あるいは生命を永続させるための手段、みたいなね。
自分の今後の人生、実際に宇宙に行くことがあるかは分からないけど、少なくとも未知の場所に自分が第一人者として最初の一歩を刻むことは無いだろうなと思う。
Outer Wildsはそれを味わえるのである。何があるか、起こるか全く分からない惑星・空間・現象に向かって進める第一歩の恐怖とワクワク、ほんと~~にすごい。PCの前だけど、間違いなく現実の宇宙を探索するのと、未知の現象に遭遇するのに近い気分を味わえたと思う。
そしてそんな未知だらけの世界の中で世界の謎に遭遇し、発見および解決していく喜び。とにかく体験が素晴らしいゲームであった。
最終盤、宇宙の眼にワープした後は鳥肌が立ちっぱなしだった。
「きっと何か良く分からない、衝撃的なことが起きるんだろう」という期待感からである。あんなにちゃんと全身がゾワゾワした状態になるの、本当にすごいと思う。それはそこまでに至るゲーム体験が素晴らしかったことの証明である。
ただし!実際の展開に対して鳥肌が立つことは無かった。あくまでも鳥肌は期待感に対してである。そしてそれほど衝撃的なことは起こらず、ほどほどであった。でもタイトル画面に戻るまで、「次の瞬間何が起こるか分からない」という状態が続いてたので最後の最後まで鳥肌は立ちっぱなしであった。
自分に対して残念なことは、自力での攻略力が低いことである。
全部自力だったら絶対にもっとすごい体験になったよな~と思う反面、余暇時間が限られる中で先の見えない攻略をするのは難しかった。
それを踏まえても特に残念なのは、量子の月の到達方法を見てしまったことである。これは絶対に気づけた…。攻略情報無しで初めてちゃんと着陸できたとしたら、それはきっと長く記憶に残る体験になっただろうなと思うからだ。
逆に第6の場所、燃え盛る双子星の時限関係(サボテンとか)、各ショートカット地点は攻略を見て良かったと思う。あの辺りで詰まったらゲーム自体がつまらなく感じると思うので。
DLCが出るらしいけど、どういう切り口になるんだろう?
Echoes of Eyeというタイトルのようなので、宇宙の眼を掘り下げる内容なのかな。
楽しみだね~~次は絶対自力でやるぞ~