電王戦

プロの将棋を見るのが好きで、一時期はNHK杯を録画するほどハマっていた時期があった。

最近はニコ生でタイトル戦を中継しているので、すごく手軽に楽しめて良い流れだと思う。

 

でも将棋は駒の動きが分かる程度で、全く指せない。

ただ渡辺明棋王が言っていた「将棋は堅苦しく見るものではなく、サッカーの代表戦を見る感覚で気軽に楽しんで欲しい」という言葉に感銘を受けて、分からなくても見て良いんだ!と思い直してから観戦するようになった。

何が起こっているかは分からないけど、解説を聞いてなんとなく分かった気になり、一手ごとに表情や雰囲気がガラっと変わる様子を楽しんでいる。

 

 

しかし個人的に電王戦はそもそも存在意義すら疑問で、早いところブームというか、こういう催し自体が無くならないかな、とさえ思っている。

 

コンピュータVS人間という構図は分かりやすく燃えるシチュエーションなのかもしれないが、自動車VS人間の徒競走みたいなものでそもそもやること自体アホらしいのではないか。

 

将棋は恐らく突き詰めれば最初の数手で勝敗が決まるゲームなわけで、そこを過去の対局をものすごい演算能力で分析してしまうというのは将棋の根幹となる面白さを切り落とす作業のような気がしてならない。

 

いったんコンピュータ側が有利になるということは、ほぼ寄せまでの手順が見えているということなので、ヒューマンエラーが起こりえない状況は全く面白くない。

 

ということで今回のバグを突いた人間側の勝利という結果は、プロ達がコンピュータVS人間 という構図がいかにしょうもないか、視聴者に理解してもらうためのメッセージだったんじゃないかと勝手に思っている。

 

バグを突く、というものはコンピュータの演算能力に対して勝利したのではなく、製作者の落ち度を指摘した、に近いと思う。

それと同時に「人間はコンピュータに思考力、分析力では敵いません。だからしょうもないんです。プロなので勝敗にこだわった結果バグを突きましたけど。」ということを表明したのと同じではないかなと。

 

もしそうなのであれば電王戦に何の意味もない。将棋というゲームの価値を下げるだけだと思う。

そろそろ将棋に興味が無かった層を取り込むという唯一の役目は終えたと思うので、今後は開催して欲しく無いな、と極めて身勝手な思いを表明する土曜深夜である。